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医療器械職人の技術継承

医療器械職人の技術継承

医療器械の原点である手術器械は、大まかに「鍛造(鍛冶屋)」→「組み立て・仕上げ(仕上げ職人)」→「鍍金(磨き屋)」という工程で作られます。
少量多品種という性質もあり、大量生産には向かないため、一つ一つ手作りに近い方法で作ります。
そのため、寸法や形状、切れ味や調子など外科医の好みに合わせることも可能です。プラモデルのようなに組み立てて作る海外製の器械とは違う、Only one・No.1の使い勝手を提供できます。
しかしながら、多くの伝統工芸産業同様、職人の高齢化や後継者不足によりこの技術は消滅の危機にあります。我々はこの技術の継承に取り組んでいます。

活動内容

職人訪問(技術の掘り起こし・記録)

手術器械の製造は、幕末に刀鍛冶から転じた職業とされ、1850~60年代(オランダ医療ブーム)に多くの職人が育ちました。終戦後の復興期に外科手術の発展と合わせ、様々な医療器械が製作されてきました。それらは腕の良い職人によって洗練され、ドイツ製とは違う日本独自の医療器械として完成、外科医の手の代わりとなり医療の現場で活躍しています。しかし、昭和60年、関東近郊に235社余りあった医療器械職人の工場は、現在65社にまで減少しました。その多くは一人親方で、ほとんどが70歳、80歳代です。

技術の価値と必要性

職人の手仕上げにより丁寧に作られた日本製医療器械は、切れ味や調子のよさ、手に馴染み、操作性が良い優秀な道具です。我々はこの価値を国内外を問わず多くの方に知っていただきたいと思っています。一方で、機械加工技術が素晴らしい進化を遂げている今、この技術は本当に外科医に必要とされているのか?今後も必要とされ続けるのか? “伝統の匠の技“と自負するも、それは独りよがりになっていないか?医療器械職人の技術の価値と必要性については、そんな問いから考えていくべきではないかとも考えています。是非、ユーザーである医療人の方々のご意見をお聞かせ下さい。(アンケートにご協力をお願いします。)

「医療器械職人」という職業の広報活動

医療器械職人は、鉗子を作る者、剪刀(ハサミ)を作る者、鑷子(ピンセット)を作る者など、それぞれが専門分野を持ち、いずれも自らの手で最終製品を完成させます。つまり自分の作った道具が、医療人の手の代わりとなって患者の治療に使われるということです。特に外科医の中には、同じ職人として、医療器械職人をパートナーと考える方が少なくありません。それだけやりがいのある職業だと言えるのではないでしょうか。この職業がなくなってしまうと、少量多品種の医療器械は、オーダーメイドという選択肢を失います。そうならないよう、我々はこの職業を多くの人に、特に若者に知っていただき、技術者の発掘や育成につなげるための活動しています。

未来に向けて

100年以上前から日本の医療を支えてきた技術です。次世代に引き継いでいくべき仕事です。その伝統と功績は、医療を支える新たな日本製医療器械の開発の一つの種となるはずです。未来に向けて。